メンバーから【虫に心を掴まれた少年の日常】


我が家の長男は、昆虫を中心とした生き物が大好きです。

彼のはじめての言葉は「でんしゃ」 一時期は、電車が通るのを線路で待っている子でした。 2歳の時、散歩している途中にアリを発見した長男。 指さす長男に、夫が「これはアリっていうんだよ。」と教えると、 道に腹ばいになってアリを観察し始めました。 彼の中で「道を歩く小さい黒いもの=アリ」と結びついた瞬間でした。

当時、動物園に連れて行ったときも、象の前で、「あ、アリ!」とアリのほうに惹きつけられたことを覚えています。 思えばこの頃から、長男の興味は「小さな生き物」にあったのかもしれません。

いま長男は小学5年生となり、学校と塾と忙しい毎日を過ごしていますが、生き物への興味は変わらず、ますます愛を深めています。 生き物への興味が、身近なことへの不思議や発見につながっていく。 そんな長男の毎日とは...

11月×日  今日も雲を観察。 学校で天気を習ってから、雲に興味を持ち、雲見(雲の観察)を続ける。 体育の時間にも雲を見ているため、先生の指示を聞き逃す。。。

11月×日 登校中に通る川に、マガモがいるのを発見! 「いつもはカルガモがいるのに、今日はマガモがいた!」

11月×日 「1-1=0ってすごくない?1ができたんだけど、そこから1ひいたら、またゼロに戻っ ちゃうんだよ、なんかすごいと思うんだよね。だって、できた1がまた0に戻るんだよ」と、感動する。

11月×日  「砂消しと爬虫類がつながったんだよ」と、長男から砂消しを渡される。 「どう?」と言われるが、全くわからず。 聞くと、砂消しの手触りが、過去に動物園で触ったアフリカの爬虫類に似ていることに気づいたらしい。 確かに、そういわれて、砂消しを触ってみると、砂消しのざらざら感が爬虫類に似ているかも、と思うけれど、いかんせん私は爬虫類が苦手なので、正直よくわからない。。。 「砂消しを1週間触ってみて。そしたら、僕がヤモリ見つけてくるから、ヤモリ触ってみて。 砂消しで慣れたから、きっとヤモリを触れるようになるよ。 爬虫類苦手でも、砂消しがあれば、みんな触れるようになると思うんだよなぁ。」 と、まるで大発見したかのよう。 ・・・息子よ、爬虫類が苦手なのは、肌触りではなく、見た目からしてダメなのだ。。。

11月×日 塾に行った長男が帰ってこない。先生に質問でもしているのかな。 帰宅後に聞いてみると、「ハサミムシを観察してた」。

11月×日  登校中の川にキセキレイがいるのを発見! キセキレイが川のあの場所にいるのは珍しいそう。 11月×日 学童の夕食で食べたワタリガニの“殻”を持って帰ってくる。 長男が持って帰ると言い出すと、他の子たちも持って帰っていったとのこと。 殻は自宅で洗って、干し、観察した後、長男の宝箱引き出しへ。 この引き出しには壊れたテレビのリモコンや石、お菓子の袋などがごちゃごちゃに入っていて、彼のワクワクが詰まっている。 11月×日 「明日、友達と9時に正門で待ち合わせなんだけど、正門ってどこ?」 と真顔で聞いてくる。 小2の弟に、「え!!正門知らないの?」と本気でびっくりされる。 弟に正門の場所を教えてもらい、「あそこが正門っていうんだ、なんだろう、と思ってたんだよね、ありがとう」と、無邪気にお礼を言う。 確かに、普段、登下校時には正門は使わず、西門から出入りしているが... 正門を知らずに小5になることってあるんだ。 興味のないことは、なかなか頭に入ってこない長男。。。

11月×日  友達と登校していく長男を見送っていたら、川で立ち止まり、何かを指さして友達に説明している。 今日は、何に気づいたんだろう? 夜聞いてみると、「今日は、同じ場所に、カルガモ、マガモ、オナガガモ、スズメ、ハシブトカラス、キセキレイ、セグロセキレイがいたんだ。」

ちゃんとスズメやカラスもいれているあたり、普段の長男の生き物に対する視線が平等であることが伺える。 そういえば、以前、ゴキブリを退治しようとしたとき、「ゴキブリだって虫なんだよ!」と猛反対されたことがあったな。

11月×日 給食当番の白衣を持ち帰るのを忘れる。忘れると次の週も給食当番をしなければいけない。 忘れ物がなかなかなおらない。。。

11月×日 「今日、給食当番で、給食運ぶとき、廊下の水槽見てたら、先生に "早く運びなさ〜い" と怒られちゃった。」 「今、ちょうどグッピーが赤ちゃん産んでるんだよ。赤ちゃん産む瞬間が見たくて。給食当番の時に、ちょうど水槽の前を通るから、ついつい観察しちゃうんだよ。」と長男。 そこで母はピン!とくる。 「もしかして、白衣忘れたのわざと?白衣忘れたら、給食当番を次の週もできるから、“グッピー見る機会が増える!”と思ってたりして・・・」 長男、ニヤッと笑う。

グッピーは、卵をお腹の中でかえす卵胎生という魚。メダカに似ているカダヤシという魚も、卵胎生。

「卵で産むと、敵に一気に卵を食べられちゃうでしょ。でも、赤ちゃんで産めば、食べられても、一気に食べられちゃうことはない。だから、赤ちゃんで産むのは、グッピーやカダヤシの生き残り戦略だと思うんだよね。」 

ちなみに、給食当番は隔週で回ってくるため、長男は3週連続給食当番をすることになる。。。

忙しい毎日が続く中で 「大丈夫かな、大変じゃないかな?」と思うときもありますが、そんな毎日の中で、彼なりに発見や不思議を見つけて、感動したり考えたりしていることが、話から伝わってきます。 様々な虫の生態に触れてきた彼にとっては、社会が多様であることは「多様性」という「言葉」よりも前に実感していることなのでしょう。 カマキリの目を通して見える世界と、蝶の目を通して見える世界は、人間が見ている世界と違うらしいことに気づいている。 彼は「本当のことって何だろう?」「自分が見ているものは、本当なのだろうか?」と考えるようになっているのかもしれません。 このように、たくさんの不思議や発見に感動してきたであろうことは、これまでも長男の口から聞くことはありました。 しかし口下手で物静かな彼が、こうやって自分の感じたことや発見したこと、そして、逆に自分が不得手としていることをありのままに教えてくれるようになったのは、最近になってからかもしれないなと感じています。

そうなったのはCo-musubiの存在が大きい。

子どもたちそれぞれが、自由に自分の感じたことや考えを発言していること、それをみんなが受け止めてくれること。 「それは違うよ」「もうそんなこと知ってるよ」と言う子は、誰もいません。

学校では、授業の様子や普段の行動から、一目置かれている子やクラスの人気者がいます。 けれどオンラインでつながるCo-musubiでは学校での立ち位置なんて関係ない。 そんな程よい距離感も、子供たちの発言の自由度を増しているように思います。

Co-musubiの子どもミーティングで登場するたくさんの偉人に、「変だと周りから言われるやつが世界を変えてきたんだ」と背中を押してもらうこと。 スティーブ・ジョブズから、「stay hungry, stay foolish」と勇気をもらうこと。 子どもミーティングで、自分の発言を受け入れてもらえること。 Co-musubi代表であり、子どもミーティングでファシリテーターをしてくれている井上さんから「その考えいいね!」と認め続けてもらうこと。 そういった経験を通じて「ありのままでいいんだ。」「これでいいんだ。」という自己肯定感が確実に醸成されています。

その結果長男は、普段自分が感じてきた不思議や発見、感動をありのままに伝えてくれるようになったのでしょう。 そして、自己肯定感が育ってきたからこそ、自分が苦手なこともオープンにできるのではないか、と気づきました。

先日、長男が書いた作文です。 「みんなは虫捕りを遊びだと思っているかもしれない。 でも、実はそれは違う。 本当の虫捕りとは、自分の道を開くものである。 虫捕りをしていると、次第に心が落ち着く。 そうすると、自分には何でもできる、自分で自分の目標を決めることができるような気がする。」 

自分自身を受け止めてもらえる場所を得て、長男のワクワクや不思議が、ますます自由になっていくのを実感する日々です。

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